リコの札幌ダイアリー

古き良き時代の回想と日々を綴るブログ

啄木歌碑をめぐる冒険【札幌編】

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私の愛読書。

新潮文庫の石川啄木『一握の砂・悲しき玩具』である。

 

短歌とか和歌といったジャンルが好き。

その歌が詠まれた情景や心情を勝手に思い描いて、あたかも自分もその時代、その瞬間に同じ景色を見ているような気分になれるから。

 

ところで、どういうわけか私は石川啄木が好きだ。

ja.wikipedia.org

この儚げな雰囲気。放っておけない。

 

そして嬉しいことに、北海道には石川啄木の歌碑が何ヶ所もある。

啄木は、岩手県の生まれだが、かくかくしかじか色々あって北海道に移住。

後に北海道を去るまで、函館・札幌・小樽・釧路を漂泊しながら詠んだ歌が、先の『一握の砂』に収められている。

…というゆかりがあるのだ。

 

さて、今回は、札幌の歌碑3か所イッキ巡り。

啄木さんに会いに行くよ〜!

 

大通公園の歌碑と啄木像

▪️所在地▪️

札幌市中央区大通西3丁目 大通公園

 

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これは行きやすさNo.1。大通公園です。

石碑に刻まれているのはこの歌。

しんとして幅広き街の

秋の夜の

玉蜀黍(とうもろこし)の焼くるにほひよ

 

大通公園は、1875年(明治8年)頃、

開拓使が西洋草花を西3・4丁目に植え、市民の目を楽しませる広場になっていった。

そして、1907年(明治40年)には現在のような本格的な公園整備が進められたという。

とうきびワゴンもこのころ(明治時代)に誕生したようだ。

啄木が、函館から札幌入りしたのは明治40(1907)年。

まさに、この場で札幌の風を感じていたのかと思うと感慨深い。

啄木さんが時を超えて現代に生きているのを、歌を通じて感じられる。

(ちょっと壮大で震える)

 

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影が濃くて見えない…泣

啄木の70回忌に合わせこの歌碑が建立された旨が書かれている。

 

歌碑の側面にも文字が刻まれていた。

秋風記より

札幌は寔に美しき北の都なり。初めて見たる我が喜びは何にか例へむ。アカシヤの並木を騒がせ、ポプラの葉を裏返して吹く風の冷たさ。札幌は秋風の国なり、木立の市なり。おほらかに静かにして人の香よりは、樹の香こそ勝りたれ。大なる田舎町なり、しめやかなる恋の多くありさうなる郷なり、詩人の住むべき都会なり。

明治四十年作

 

石川啄木の下宿跡(旧田中宅跡)

▪️所在地▪️

札幌市北区北7条西4丁目4−3 札幌クレストビル


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「え、まさか、ここに!?」

Googleマップを頼りにたどり着いたのは、近代的なオフィスビルの玄関ポーチ。

唐突に啄木さん現る。

 

庇があるとはいえ風雨吹きさらしの環境なのだが、ガラスケースもパネルも綺麗に磨かれていて、大切に管理されているのがわかる。

 

この場所は、啄木が函館から札幌入りした明治40(1907)年9月14日から、2週間滞在した田中サトさんのお宅。

 

《札幌市のホームページより引用》

明治40(1907)年、歌人石川啄木が21歳のときに、詩友向井夷希微らに迎えられ、彼らの下宿でもあった田中サト宅に下宿しました。滞在2週間で慌ただしく札幌を去った啄木は、勤め先の北門新報に「札幌は寔に美しき北の都なり」との印象記を残し、小樽、釧路へと流浪の旅に出ました。

www.city.sapporo.jp

 

偕楽園緑地の歌碑

▪️所在地▪️

札幌市北区北7条西7丁目 偕楽園緑地内

 

先の下宿跡から600メートルほど西へ。

またまたGoogleマップを片手にさまよう。

 

札幌駅のすぐ近くという超都会的立地にも関わらず、一本路地に入ると、この辺りだけ時間が止まったように静かでのどかだ。

年季の入った建造物も何軒かあるし、札幌市の有形文化財“清華亭”もある(現在改修中で残念ながら見られなかった)。

 

少し道に迷ってキョロキョロしていると、

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都会のはざまに急に現れる緑地。

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そして、静かに佇む歌碑。

アカシヤの街き(なみき)にポプラに

秋の風

吹くがかなしと日記に残れり

※なみきの“き”は、木へんに越

 

この3か所以外にも、平岸天神山緑地にも歌碑があるとのこと。

いつか訪問してみたい。

 

ちなみに私の好きな啄木の歌はこちら。

あたらしき心もとめて

名も知らぬ

街など今日もさまよひて来ぬ

(一握の砂)

夜明けまであそびてくらす

場所が欲し

家をおもへばこころ冷たし

(一握の砂)

孤独、薄幸、よりどころのなさ、すべてがこれらの歌に詰まっている感じ。

それが現代を生きる私の心に染みて痛い。

 

一説には、経済観念も異性関係もルーズだったという啄木さん。

まぁ、それが人間味あふれていて良き。

 

 

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